近年、AI(人工知能)の発達により、AIにできる仕事の領域は拡大していくと言われています。
株式会社野村総合研究所が行った調査によると、今後10年から20年の間に日本の労働人口の約半数の仕事がAIやロボットに取って代わられるとの推定結果が得られたそうです。[1]
この結果を見ると、「私の就いている仕事は大丈夫なのだろうか?」と不安に思ってしまいますよね。
しかし、AI時代にあっても人手不足になる、と言われている職業が存在することも事実です。
今回は、今後消えていくと言われている職業、人手不足になると言われている職業をお伝えします。
ぜひこれからの職選びの指標としてみてください。
消えていくと言われている職業
一般事務員
一般事務員の仕事はデータ入力などの単純作業が多く、マニュアル化しやすいことから、AIに取って代わられる仕事と言われています。
AIは抜群の処理能力の高さや正確性があり、人間の様にミスを起こすもありません。
また、人を雇う必要なくなるため、人件費の削減ができ、企業にとっては大きなメリットになりえるでしょう。
しかし、応用が必要な顧客対応等のコミュニケーションはAIが苦手とする部分です。
AIにより今後一般事務員の求人は減るでしょうが、そのようなスキルを活かすことにより、生き残ることができるでしょう。
スーパー・コンビニ店員
つい最近となりますが、2020年3月に開業したJR山手線の「高輪ゲートウェイ駅」構内にAIを活用した無人決済店舗「TOUCH TO GO」が開店して話題を呼びました。
スーパーでは無人レジを導入し、無人コンビニの実験も各地で行われています。
また、新型コロナウィルス流行により、対面での会計を必要としない無人レジや無人コンビニなどは今後更に増えていくと予想されています。
スーパーやコンビニ店員の仕事はなくなる可能性が高いと言える職業です。
タクシー運転手
自動車の運転技術は日進月歩で進んでいます。
昨今では、自動ブレーキ搭載の車が販売されていますよね。近い未来、人を感知して完全停止する機能を備えた車も販売されるでしょう。
また、2018年には自動運転タクシーの実証事件が実施され、その後も様々な企業が自動運転タクシー導入に向けて実証事件を行っています。[2][3]
将来自動運転タクシーが導入されれば、タクシー運転手はいずれ失業してしまうでしょう。
行き先を告げて無人の車は動き出す、そんな映画のような光景も近い将来に見られるかもしれません。
ホテル従業員(客室係・フロント係)
ホテルの従業員もいずれAIやロボットに取って代わられる職業と言われています。
現在でも、長崎県にあるハウステンボスに世界初のロボットホテルがあります。ロボットホテルでは、AIロボットがフロントに立ち、誘導からおもてなしまでしてくれます。
そこまではいかなくとも、フロント業務自体が自動化されているホテルも増えつつあり、いずれフロント係は消えるかもしれません。
また、前述したロボットホテルのように、誘導やおもてなしができるロボットが普及すれば、客室係もロボットに取って代わられるでしょう。
銀行員
たびたびニュースにも取り上げられていますが、金融とITを融合させた「フィンテック化」や「キャッシュレス化」が進み、銀行を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
AIの秀でた能力として膨大なデータを分析する力があり、複雑な数字の計算はAIが代替することが可能になります。
人手不足になると言われている職業
一方、AI化が進んだとしても、むしろ人手不足になると言われている職業もあります。
前述した株式会社野村総合研究所の調査によると、今後も生き残る職業の特徴として以下が挙げられていました。
・創造性や独創性が問われる職業
・他者への人間的な理解が問われる職業
このような職業は、今後もAIやロボットに取って代わられることはありません。
また、少子高齢化の影響もあり、人手不足になる職業と言えます。
介護職・保育士・看護師
国内の高齢者人口は右肩あがりで増加傾向にあり、高齢者とのコミュニケーションが求められる介護職は人手不足になると言われています。
保育士も子供達とコミュニケーションを取りつつ、見守る必要があります。
また、看護師も患者とのコミュニケーションを必要とするため、現段階以上に必要として求められる職業です。
教師
人に教え、常に人と向き合う教師はAIには難しい仕事です。
ひたすら単純に授業を進めるということはなく、仕事内容も多岐にわたります。トラブルや問題にも対応しなければなりません。
また、常に状況判断が必要であり、子供の気持ちを理解する必要があるなどAIにはできない事が非常に多いと言えます。
そのため、AIが普及しても教師という職業はなくなることはないはずです。
カウンセラー
心理カウンセラー・キャリアカウンセラーなど、人の相談に乗る仕事は無くならないと言われています。
やはり人は、悩み事があったときに人に相談したくなるためです。
また、AIは正論を返すことはできるでしょうが、クライアントの気持ちを汲んで共感したり寄り添うことは難しいですよね。
人に話して共感が欲しい時に、AIにズバズバと正論を回答されたとしても、話して良かったとはならないでしょう。
エンジニア
AIが普及するにつれてAI開発者やエンジニアの需要は増加すると考えられています。
システムを構築するには、プログラミングのような技術だけでなく、クライアントへの柔軟なヒアリングが必要です。
クライアントに合わせて質問内容を変えるなど、幅広いスキルとコミュニケーション力が重要です。
元々人手不足のエンジニアなのですが、これからはさらに希少性が高まっていき、給与水準も右肩上がりで上がっていくと予想されます。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、ビッグデータを分析してマーケティングを行いビジネスに活用する、いわゆるデータのプロのことです。
ITスキルだけでなく、統計学の知識やコミュニケーションスキル等幅広い知識、スキルが必要とされます。
さらに、ビックデータはAIのディープラーニングの精度を上げるために必要なデータであり、データサイエンティストはAIを使いこなす側の人材と言えます。
必要なスキルは多岐にわたりますが、エンジニアからキャリアをスタートさせ、将来的にデータサイエンティストになるというのも一つの方法です。
まとめ
定型業務を作業する単純労働だけではなく、難易度の高い職業もAIに代替されるといわれています。
AIに代わられてしまう職業がほとんどの中、エンジニアはそれらを制御する側の職業であるため必要不可欠な存在であると言えます。
テクノロジーを提供する側にまわることが、生き残るための確率を最大限に高める選択だと言えるのではないでしょうか。
IT業界は圧倒的人手不足ということもあり、キャリアとして選択肢の第一候補におすすめ出来ます。
<参考・参照サイト>
[1] 「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」[PDF](株式会社野村総合研究所、2015年12月2日、p.1)
[2] 「自動運転タクシー営業実証実験の概要について」(Robot of Everything)
[3]「自動運転タクシーの実用化に向け協業、KDDIら5社 20年夏に都内で実証実験」(ITmedia NEWS、2019年11月14日)