Web業界に少しでも興味があるという方は、フロントエンドとバックエンドという言葉を見たことがありませんか?
このフロントエンド、バックエンドとは主にITエンジニアの担当する領域の違いです。
この記事ではフロントエンドとバックエンドの違いや将来性、IT業界での需要などについて初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
「興味はあるけど、あまり調べたことはない」
「少しは知っているけど、自分がどっちに向いているのかは分からない」
このような人にぜひ読んで頂きたいです。
フロントエンドとバックエンドとは?
まず大まかにフロントエンドとバックエンドの違いについて解説していきます。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは主にUI(ユーザーインターフェース)と呼ばれる部分を担当しています。
UIとは、日常で利用しているホームページやスマートフォンのアプリで表示されている部分のデザインのことです。
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアはフロントエンドエンジニアとは対照的です。
Webサービスやアプリの機能自体に関わる部分を担当しています。
例えば「Instagram」アプリで説明すると、ユーザーが投稿した写真をデータとして保存し、後で編集や削除などを行うことが出来るような機能がありますよね。
このように、バックエンドエンジニアは、ユーザーが意識して設定することなくアプリによって自動で処理を進めてくれるシステムを構築します。
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの実務での違い
フロントエンドとバックエンドの内容については理解して頂けたと思います。
次に、実務での役割の違いについてです。
IT業界では仕事の単位を「プロジェクト」と呼びます。
フロントエンドもバックエンドもプロジェクトによって微妙に作業内容や使うプログラミング言語が変わりますが、ここからは、あくまで基本的な仕事の進め方について解説します。
フロントエンドエンジニアの場合
フロントエンドエンジニアの仕事はアプリ、ホームページの見た目に大きく関わります。
したがって、デザインを担当しているデザイナーとの連携が重要です。
いくら機能が充実していても見た目が良くなければ、使い始めてくれるユーザー、ましてや使い続けてくれるユーザーはなかなか増やせません。
そのため、フロントエンドエンジニアはデザイナーが計画してきたデザインに沿って作業をしていくことが多いです。
現在では、技術的に実現不可能なデザインというのはほとんど存在しません。
ただ、デザイナーが考えたデザインをそのまま採用した場合、表示させるまでの処理が重すぎてユーザーがアプリを開いてからの読み込み時間が長くなってしまうことがあるのです。
これでは、結果的にユーザーが他のアプリを使うようになってしまいます。
デザイナーはプログラミングの処理を考えるプロではないので、このような問題に対応するのはフロントエンジニアの仕事です。
上記のような場合だと、デザインを優先させるか、処理速度を優先させるか、あるいはその間の妥協点に落ち着くのか、といった調整を行います。
ただ、小さな会社であれば、簡単なデザインはフロントエンドエンジニアが兼任している所も珍しくありません。
フロントエンドエンジニアは見た目の部分を担当しているので、ある程度の経験があれば簡単なデザインは考えられます。
フロントエンドエンジニアのプログラム言語とフレームワークについて
エンジニアはプログラミング言語を使ってプログラミングをしています。
これを聞いても、知識がない方にとっては何を言っているのかよく分からないかもしれません。
簡単に説明すると、プログラミング言語とはコンピューターに処理をさせるための文章です。
私たちが普段使っている言語にも日本語や英語という色んな種類が存在しているように、プログラミング言語にも本当にたくさんの種類があります。
ですが、フロントエンドエンジニアが使っている言語は、ほとんどがJavaScript(ジャバスクリプト)という言語か、その派生形です。
「たくさんの言語が存在しているのに、ほとんどJavaScriptなのは、なぜ?」と思った人もいらっしゃると思います。
もの凄くざっくり説明すると、たくさんの言語が作られても、結局、JavaScriptの利便性に勝てる言語が未だに存在していないからです。
もちろん、JavaScriptにも欠点は存在しています。
ですが、それでも欠点を補うような新しい言語を作る手間を考えると、JavaScritpの優位性には及ばないのでしょう。
JavaScriptを進化させたTypeScriptタイプスクリプトという言語がスタンダードになってきているという点から考えても、JavaScriptが今後もフロントエンドの中心に存在し続けることはまず間違いないと思われます。
また、プログラミングではフレームワークやライブラリと呼ばれるあらかじめ準備されているテンプレートのようなものを使って実務に取り組むことがほとんど。
「jQuery(ジェイクエリー)」がもっとも有名で使用率も高いですが、その人気はゆるやかに下降中。今は「React(リアクト)」「Vue.js(ビュージェイエス)」が伸びています。
バックエンドエンジニアの場合
バックエンドエンジニアの仕事は、ユーザーが意識することが少ない部分を担当していることが多いです。
フロントエンドがユーザーの視覚で分かる部分だったのに対して、バックエンドはその裏で処理されている部分を担当します。
これはプログラミングをやったことがないと、どうしても想像しにくいでしょう。
「Twitter」アプリを例に説明すると、投稿するための文字入力や画像選択をする画面はフロントエンドエンジニアの領域、投稿された文章や画像を保存したり「いいね」した投稿をまとめたりする機能を実現させるのがバックエンドエンジニアの担当する領域です。
SNSに投稿するとき、「どこのサーバーに保存しようか」とか「画像はどのデータ形式で保存しようか」などを意識したことはありませんよね。
それは、ユーザーには見えない部分で行われている処理だから。
しかし実際には、バックエンドエンジニアが居てくれるからこそ、一般ユーザーが快適にアプリやホームページなどを使いこなすことが出来ているのです。
フロントエンドエンジニアがデザイナーと連携するように、バックエンドエンジニアは依頼主と関わりをもつことが多いです。
バックエンドエンジニアは機能を作成することが仕事でしたよね。
その機能は、アプリやホームページなどを作りたいと思っている依頼主から「こんな機能が作りたい!」という依頼に基づくものです。
依頼内容は実現可能な機能なのか、その機能を実装して処理速度は問題がないか、また、別の機能と衝突してエラーを起こすことはないかなどを考慮しながら実務が行われています。
バックエンドエンジニアのプログラム言語とフレームワークについて
フロントエンドエンジニアのほとんどがJavaScriptというプログラミング言語を使っていたのに対して、バックエンドエンジニアは様々な言語を使っています。
アプリなどを開発するWeb系企業であれば日本人が開発したRubyやPHPといったプログラミング言語を使っていることが多く、業務に使用するシステムの開発が主な会社であればC系言語やJavaなどが多く使われています。
バックエンドには言語ごとにフレームワークが複数あるので、プロジェクトによって向いているフレームワークを使い分けたり依頼主から指定がある場合にはそのフレームワークを使ったりします。
たくさんの言語がありますが、実務経験が豊富な人であれば複数の言語を使いこなすことも難しいことではありません。
言語というと日本語、英語、フランス語などのように全く異なるもの、というイメージを与えてしまうかもしれませんが、プログラミング言語に関しては基礎的な考え方や処理は似ています。
作成するための文法が違うだけなので、何か1つでも業務で使用した経験があれば、他の言語も比較的スムーズに習得することが出来ます。
フロントエンドとバックエンドの将来性と需要
ここからは、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの将来性について説明します。
ITエンジニアという職業が将来的にかなり人手不足になると予測されていることもあって、どちらの将来性も非常に有望だと言えます。
フロントエンドエンジニアの将来性
フロントエンドエンジニアの将来性は非常に有望です。
今やスマホを持っているのは当たり前ですし、1台のスマホに何十ものアプリがインストールされていることが普通です。
これから先インターネットやスマホが衰退していく未来は考えにくいので、フロントエンドエンジニアの需要は増え続ける状況にあると言えます。
現在、フロントエンドエンジニアの使用言語はJavaScriptでほぼ固定されていますが、フレームワークや派生形などの言語が多く開発されています。
したがって、独立やフリーランスになることを目指していく場合は最先端の技術を常に追求し続けていく必要があるでしょう。
特に、新たにWeb業界に就職しようと思っている人は、経験年数の差を埋めるためにフロントエンドエンジニアとして就職活動をするのがおすすめです。
というのも、例えばバックエンドであれば、経験年数が10年ある人と実務未経験の人であれば、絶対的に経験年数が長い人が評価されます。
しかし、フロントエンドであれば1年前に開発された新しいフレームワークを利用する可能性があり、その場合、経験年数に関係なく誰であっても学習期間が1年に限定されます。
つまり、実務未経験であっても同じフィールドで勝負しやすいのです。
バックエンドエンジニアの将来性
バックエンドエンジニアもフロントエンドエンジニアと同じ理由で将来性は有望と言えます。
フロントエンドエンジニアと違う点は、バックエンドエンジニアの方が会社やプロジェクトごとにプログラミング言語を柔軟に変えている場合が多いことです。
バックエンドエンジニアは経験年数を重ねていくごとに複数の言語を使うことが多く複雑な処理を担当していくことになります。
そのため、実務未経験で転職を希望している人がいても経験を積んだバックエンドエンジニアとは非常に大きな差があります。
経験豊富で専門性の高いバックエンドエンジニアは市場価値も高く、IT人材が増えても給与が減るようなことにはならないでしょう。
また、フリーランスエンジニアになっても同様で、初心者やフリーランスエンジニアになったばかりの人に仕事を取られてしまうような事態にはならず、自分が仕事を選ぶ立場で安定して働き続けられるでしょう。
両者の求人数や需要の違いについて
求人数はどちらも多く、これからも増加していくと言われています。
フロントエンドエンジニアに求められるのは、常に最新技術を勉強し続けるという姿勢です。
仕事中はもちろん、休みの日でも進んで勉強し続けられるような人が求められています。
特にベンチャー企業ほど最新技術を採用している場合が多いので、流行に敏感でなければいけません。
他方、バックエンドエンジニアにも自主的な学習姿勢は求められますが、最新技術の追求というより、既存の技術を深く掘り下げて習得することが求められている場合が多いです。
プログラミング言語に加えて大学レベルのコンピューターサイエンスや数学、統計学といった高度な知識が求められる現場もあるので、物事を深く探求していくことを楽しめる人が向いています。
最後に
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違いは分かりづらい部分もありますが、普段身の回りで使っているアプリなどに注目してみることで違いが見えてきます。
どちらの方が優れているというようなことはなく、協力して業務を進めていくことでユーザーに評価してもらえるアプリやシステムを作っていくことが出来ます。
ご自身の性格や興味と照らし合わせて、お好みの道を選択してください。