今年の春は、緊急事態宣言や外出自粛要請が出されました。その影響で急遽テレワークになり、働き方が大きく変わった人が多くいらっしゃるのではないでしょうか?
最近、私はお客様からテレワーク環境の整備の引き合い、問い合わせを多く受けています。
その中で感じるのが、問い合わせ内容やご要望の質が以前と比べると大きく変わったということです。
かつて、業務は「オフィスで遂行することが前提」でした。機動力や利便性を高めるために、外出先でもメールや社内システムにアクセスするための「モバイル端末」を用意することはありましたが、テレワークとは程遠いものでした。
現在、日々の業務は「自宅から遂行することが前提」とする企業が増えてきました。
それに伴い、ITインフラの見直しと最適化を同時に進める試みが行われています。
具体的には、オンライン会議の仕組みの導入、AI・機械学習(Machine Learning)・RPA活用による業務の自動化、ペーパーレス化、情報・ファイル共有の見直しなどです。
業務を遂行する場所が「オフィス」から「自宅」に変わったことが、企業が本気で働き方改革を進めようと動いている証拠ではないでしょうか。
企業は、予期せぬ事態(天災や疫病など)が発生した際に、企業活動を止めることなく、速やかに対応ができるよう対策を検討し、講じます。
そのためには、ITインフラに柔軟性と拡張性を持たせる必要があり、それ故に「ITインフラエンジニア」の活躍の場が増えている実感があります。
今回は、今まさに“旬なお仕事”である「ITインフラエンジニア」の仕事内容と、その仕事の魅力について紹介します。
ITインフラ業界に20年以上在籍する私の経験とともにお伝えしたいと思います。
私がITインフラエンジニアの道に進もうと思ったきっかけ
私がITインフラエンジニアの道に進もうと思ったのは、新入社員トレーニングがきっかけです。
「どのようにしてWebページが表示されるのか」「どのようにしてメールが配信されるのか」の講義を受けた際に、通信の仕組みに興味をもちました。
その後、実際にWebサーバーやメールサーバーの設計・構築に携わり、ITインフラの奥深さを感じるに至りました。
例えば、サーバーを安定して運用するためには、耐障害性やセキュリティ対策など高度な知識と技術が必要なのです。
この業界に入るまでは、「普通に使えて当たり前」と思っていたITインフラも、維持するだけで高度な技術を要するというのはたいへん魅力的でした。
ITインフラエンジニアの仕事について
まずは、ITインフラエンジニアの仕事について説明していきます。
ITインフラの必要性
私たちが生活する上で必要なあらゆるサービスは、インフラを通じて提供されます。
インフラなしでは、私たちはどんなサービスも受けることができません。
例えば、電気・ガス・水道は「社会インフラ」、道路・信号・橋梁・電車などは「交通インフラ」、電話・ネットワークは「通信インフラ」です。
どれも、私たちの生活に必要不可欠ですよね。
そして、ITシステムでも同じことがいえます。
ITシステムと聞くと、アプリケーション開発を想像する方が多いと思いますが、そもそもそのアプリケーションを実行し、利用するための環境が必要です。
これが「ITインフラ」です。
ITインフラエンジニアの業務内容の紹介
ITインフラエンジニアの業務とはどんなものか、少し詳しく紹介します。
アプリケーションを動かすためには、最低限の環境として、ネットワークとサーバーが必要です。
ただ、単にこれらを用意するだけでは、アプリケーションを動かすことはできません。
「ITインフラ」の設計で、代表的は以下の通りです。
・アプリケーションを実行する環境の設計(サーバー設計)
・アプリケーションに接続する経路の設計(ネットワーク設計)
・悪意のあるアクセスからアプリケーションやデータを防御する設計(セキュリティ設計)
・システム障害の発生時に、速やかに復旧する方法・環境の設計(バックアップ設計、高可用性設計)
・(チケットサイトや動画配信サイトなど)短期間に急激なアクセスが集中した場合に備え、負荷に応じてシステム容量を増減する設計(キャパシティ設計)
代表的なものだけでも、これだけの種類があるのです。
つまり、ITインフラエンジニアの仕事は、「幅広い知識」「専門的な知識(深い知識)」の両方が求められるのです。
仕事の領域すべてにおける技術進歩のスピードが速いため、難易度が高く、結果として人材が育ちにくいとも言われています。
ただ、その一方で、専門性が高く、常に進化するテクノロジーに触れることができる環境は、自己成長を感じることができ、やり甲斐のある仕事だとも考えられるでしょう。
ITインフラの世界で起こっている変化(その1)
ITインフラ領域は、常に進化しています。
その中でも一番大きな変化は、クラウドサービスの普及と言えるでしょう。
クラウドサービスの進歩により「ITインフラの機能」を、月額 かつ 従量課金(使った分だけ支払う方式)で、しかも契約してすぐに使えるようになりました。
かつて、ITインフラを利用するには、高額な初期費用と維持・管理費用が発生していました。
しかし、クラウドサービスの進歩により、ユーザーは「速く安く」機能を利用することが可能になったわけです。
代表的なクラウドサービスは、以下3つのサービスです。
・Amazon Web Service(AWS)
・Microsoft Azure
・Google Cloud Platform(GCP)
2020年10月から運用を開始する「政府共通プラットフォーム」は、「Amazon Web Service」が採用されています。
したがって、これを機に、公共サービスの領域においてもクラウドサービスの導入が加速されると推測できます。
あらゆるシーンにおいてクラウドサービスが主流になるので、これらのサービスの技術習得をすることが今後のITインフラエンジニアの主要課題になると言っても過言ではないでしょう。
ITインフラの世界で起こっている変化(その2)
冒頭で記載した通り、テレワークが一気に普及しました。
テレワークというと、ノートパソコンを購入し、必要なソフトウェアをインストールして配布するというイメージを持つ人が多いと思います。
ただ、最近では、このパソコン(Windows 10端末)の環境をクラウドサービスが提供し、利用者は自宅からネットワーク経由でパソコンに接続して使用することが可能になりました。
例えば、「Microsoft Virtual Desktop」というサービスが有名です。
また、オンライン会議で使用する「Microsoft Teams」や「Zoom」を活用している方も多いと思いますが、これらもクラウドサービスが提供しています。
このように、業務で使用するパソコンをはじめ、各種ソフトウェア、ツールまでをクラウドが提供する時代となったことも、ITインフラの世界で起こっている変化の一つです。
ITインフラエンジニアの転職事情
ここからは、ITインフラエンジニアの転職事情について説明します。
これからITインフラエンジニアへの転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ITインフラエンジニアの転職事情、市場価値
最近では、ネットワークやサーバーのITインフラだけではなく、AIや機械学習のためのITインフラ、膨大な量のデータ(ビッグデータ)を分析するためのITインフラ、インターネットに家電を接続するためのITインフラなど、幅広いところでITインフラが使われるようになりました。
このようなクラウドサービスの普及により、各社、クラウド技術者の獲得が急務です。
したがって、ITインフラエンジニアの応募者の中でも、クラウドサービスの設計・構築経験者やクラウドサービスの技術資格ホルダーの方が人気です。
時代が変貌を遂げる中、ITインフラエンジニアに対するニーズ、特に、クラウド構築に長けた人物の市場価値は一層高まっていると言えるでしょう。
この傾向はしばらく続くものと思われますので、クラウドサービスの技術はとてつもない武器になるはずです。
これからITインフラエンジニアを目指したいという方は「未経験からIT業界へ!「インフラエンジニア」でキャリアチェンジ!」も読んでみてください。
最後に
ITインフラエンジニアは、ITシステムや企業活動を支える重要な職種です。
いわば、企業を、社会を支える仕事といっても過言ではありません。
ITインフラの障害が与える影響も大きく、責任も重大ですが、それだけにやりがいのある仕事でもあると思います。
私はこの業界に20年以上関わっています。
それでも、5年前には考えられなかったことが、今では当たり前に簡単にできるなど、技術進化のスピードに追従していくことの大変さを感じています。
同時に、日々新しいことを学べるこの環境を楽しんでいます。
現在、私はデータセンターで運用されているサーバーを「Amazon Web Service」に代表されるクラウドサービスに移行するプロジェクトや、テレワーク環境の整備プロジェクトに関わっています。
デジタルトランスフォーメーションの中核となる仕事でもあり、働き方改革をITインフラから支える仕事は、まさに旬な仕事ですし、非常にやりがいをもって取り組んでいます。
これらのプロジェクトはあくまで一例ですが、この記事を通じて、一人でも多くの方が、ITインフラエンジニアの仕事に興味を持っていただけると幸いです。